棒針の太さに関するお国事情

棒針ニットプロ 基礎知識(クンストレース)

前回、棒針とレース糸の関係について書きました。

クンストレースを作ろうと思ったら、0号から3号の針を用意すればいいのかなぁ、ぐらいの理解をしていただけたとしたら、幸いです。

 

今回は、棒針の号数と実際の太さについて話しますね。

号数:世界基準ではない?

数字が大きくなると棒針は太くなる、って本当?

皆さんご存知のように、棒針には太さに応じて号数がつけられています。

日本では、棒針は0号から15号まであることは、何となくご存知かと思います。(これ以上太い針はミリで呼びます)

そして、数字が大きくなるに従って、太さが太くなる、ということも何となくご存知のことでしょう。

 

でも、かつては、ちょっと事情が違っていました。

レース用の棒針として金属製の棒針が製造されており、これら金属製の棒針にも号数が振られていました。そう、0号よりも細い棒針が存在していたのです。

そして、それらの棒針は、かぎ針同様、数字が大きくなるに従って細くなるように号数がついていたのです

 

今は普通に売られていないし、まず、お目にかかることもないので、どっちでもいいと言えば、どっちでもいい話ですが…。

そうとも言っていられない場合があります。

 

クンストレースに夢中になりだすと、外国製の棒針を使おうと思ったり、洋書を参考にして作品を作ってみたくなるでしょう。そんな時、「数字が大きくなるにしたがって太さが細くなる」場合もあるということを意識する必要がある可能性があるので、要注意です!

日本の標準は、海外の標準ではありません!

もう少し詳しく見ていきましょう。

国ごとの棒針の太さ

例えば、『0号』の棒針についてみていきましょう。

日本では、2.10mm

の太さのものが、0号として売られています。

 

アメリカでは、2.00mm

が0号となっています。大した違いではない?

 

安心してはいけません。

イギリスでは、8.00mm

です。誤差では処理しきれないほどの違いです。

 

どうしてこんなに違うのか? 勘のいい皆さんは、もうお分かりですよね。

イギリスでは、日本やアメリカと違い、数字が大きくなると細くなる方式を採用しているから0号は太い棒針になってしまうのです。

 

このように太さの基準を知らないと、とんでもない失敗をしかねません。もっとも、作品を作る時は、針の太さ以外にも糸のサイズも確認するので、余程ボーッとしていない限り、とんでもない失敗をすることはないと思いますが…、

 

念のため、クンストレースで使いそうな号数の部分だけ、3国の比較表を作ったので、参考にしてください。

日  本 アメリカ イギリス
1.50mm 00 15
1.75mm 14
2.00mm
2.10mm
2.25mm 13
2.40mm
2.50mm
2.70mm
2.75mm 12
3.00mm 11
3.25mm 10

 

ちなみに、クンストストリッケンレースの本場(?)ドイツでは、号数表記をしていません。ミリで太さを表示しています。

号数表記になれた身としては、ドイツのようなミリでの表示に抵抗がありますが、でも、外国の本に編みたいものが載っている際にはミリ表示のありがたみも感じます。

 

参考までに、日本の棒針のミリ表示を常に確認したいというは、クロバー社の棒針ゲージを購入され、手元に置かれることをお勧めします。棒針を通して太さを確認できるだけでなく、その横に号数ごとのミリ表示が書かれていますよ。

あとがき

国によって、棒針の太さの表記が違うということはわかっていただけたでしょうか?

同じようなものを作るのだから、世界基準を作って、全てそれに従ってくれればいいのに、と時に思ったりしますが、

世界基準がイギリスのような表記になって、日本の表記がいきなり変わってしまう時の混乱を考えると、今のままでいいのかなぁ、と思ったりもします。

いずれにしろ、現時点では、国ごとにそれぞれ慣れ親しんだ表記があるということを意識しながら、クンストレース作りを楽しむしかなさそうです。

でも、実は、棒針の太さの表記だけが、クンストレース作りの障害ではないんですよ・・・、(ため息)